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親父よりはよっぽどたよりになるレオナ。ワープロで打ち辛いのがたまにきず。 |
ライズのマシンはタンクGT。タンクにはたっぷりとお酒がはいっているゴキゲンなマシーンだ。さっそく迎え酒をしてレースに挑んだ森はいい気分だったのでもう一つの秘密兵器をお見舞いする事にした。そう、大砲が付いているのである。
「森。撃ちま〜す。」
ズッド〜ン!! 残念ながら1発目ははずした。
「森。撃ちま〜す。」
ズッド〜ン!! 全く当たらない。
「森。撃ちま〜す。」
ズッド〜ン!! 当たる気配すら無い。
その時苅米から無線が入った。「森さんはピットインしたので今最下位だ。後ろを向いて撃てば先頭に当たる。車も大砲の反動で加速でき一石二鳥だ。落ち着いてやれば大丈夫。」「ラジャ〜!! 撃ちま〜す。」
ズッド〜ン!! 見事に命中した。「苅米さん。一番動きの良い速そうなヤツに命中しました。…………あれ? 苅米さん聞こえてます?」
森の目に、真っ黒にススけて物凄い勢いで飛んで行く苅米の姿が見えた。「さすが苅米さんだ。あんなに速く走れる人なんていない。今日の優勝は苅米さんだな。」
チ−ムメイトのパフォーマンスに感心していた森だったが、予想と違い、意外にも苅米は最下位だった。何故かすごく怒っていたらしい。
この惨劇を間近でみていた中村は「あの、森さんだし、普通に考えて次ぎは俺か?」
と、思ったらしいがそこは人格者の中村である。森の前に出ては、タイヤスモークで煙幕を炊き、森の視界を塞いでみたり、オイルを巻き、森を滑べらせてグラベルまで親切に誘導しようとしたり、一生懸命先導に務めた。「今日の森さんの運転が危なっかしかったので、どうにかしたかったんです。」
と中村は、ショップとしての責任を痛感していたと語った。もちろん大砲を使って、後ろからこっそり10発程森に命中させ、背中を押す事も忘れてはいなかった。
そんな中村も彼の献身的な態度に「いや〜気付かなかったな〜。」
とニコヤカに無神経だった森の言動に「ちょっとムカツク。」
と、中村は爽やかに笑っていた。
中盤の激しいバトルの原因は丸塚だった。丸塚は田中と共に石井を中心とするチームバラバラの一員だ。使用するマシンはマジックスリー、何にでも変形できるハイテクマシンだ。
その丸塚のタイムが上がらなく、壁となって後ろ長〜い渋滞の列ができていたのだ。しかし丸塚はあせらなかった。「ここは石井ちゃん開発のシステムでポルシェに変形してブッチギリます。」
とスイッチを入れた。すると「おっ! ポルシェにならない。さらに開発が進んでる。最新のバージョンだ。」
丸塚が石井の素早い仕事に感動している間に、マシンは変形でナメクジになり、そのポテンシャルを見事に発揮しボコボコに抜かれてしまった。石井は速かろうと遅かろうと勝手に開発を進めてしまうようだ。
その恩恵をもう一人のチームメイト田中も受けていた。田中のマシンはファーストプロトタイプVR2008、石井の天才設定士の哲学をベアの技術力で組み上げた最強のマシンである。丸塚とは違ってにタイムが上がったら押せと言われているボタンがある。「2番手のタイムだけど、取り敢えず親父を信用して試してみるか……」
ガッシーン! ガシッ! ガシッ!
大きな音とたてて変形した田中のマシンは、まばゆいイルミネーションに覆われ、センセーショナルなファンファーレと共に頭上に大きな看板が出て来た。そしてスピーカから「まいどお騒がせしております、ベアレーシングでございます。“旨い”“安い”“速い”のベアが自信を持って紹介させていただくファーストは、このようにトップクラスのスピードを誇るNo.1シャーシです。トニーの皆様、そんなシャーシは捨てて夢のファーストに乗ってみませんか?今ならお得な定価で販売しております……」
と宣伝が始まった。田中は「へえ〜結構うちのショップて嘘をつくんだな〜。このことはみんなには黙っていよう。」
と、悪の道へ一歩踏み出した。 |