北原の勝利に酔っていると、後ろから物凄いスピードで今村が抜いて行った。「うわ〜今村さんだ! ヤバイ逃げろ!」
しかし相原は逃げようとはしなかった「なに言ってるんですかヨボヨボのジジーじゃないですか、僕が軽くひねってあげますよ。」
すると、二人が心配した通り、あっというまに相原は今村にボコボコに抜かれてしまった。「相原さんあれは“ムリ壁”です。500では誰一人としてあの壁をこえる事はできないんです。」「じゃあ、どうやってやっつけたら良いんですか?」「ひたすら頭を下げて棒と茄子をお供えするんです。そして今村さんが満腹になって動けなくなるのを待つしかないのです。」
そして渋谷が大量の棒と茄子を差し出した。今村は2tの棒と茄子を抱えて御満悦になってようやく静かになった。「相原さん、あの今村さんは妖怪のなかでも特別だから、おとなしい内に逃げましょう。」
三人で出口に向かうと前方をゆっくり走っている森永に出会った。「渋谷さん。今度はなんなんですか?」「あれはネコ娘の兄“エコ息子”です。ベアの新人はゆっくり走る事から教えられるんです。」「さすが老舗のカートショップですね。きちんとしたラインどりやテクニックを無理のないスピードで叩き込もうとしてるんですか。わかってやってる森永っていう人も恐ろしい人ですね。」「いえ、脇腹をやったりすると来なくなって売り上げに響くかららしいです。」「………。いいやもう行こうか……。」
出口まで来るとそこには御大将の田中が立っていた。「あら、珍しい杉山レンジャーさん達じゃないですか? 何しにきたの?」「ええ、今度のレースに向けてベアを退治しに来たんです。」「ああ、それじゃあ退治されとくよ。まかせといて。じゃあ、後で請求書出しとくから、杉山カート宛でいい?」「あっやって貰っても良いんですか? 助かります。じゃあ、なるべく安くお願いいたします。」「初めから田中さんに頼んどけば良かったね。」
こうして渋谷・北原・相原の三人は任務を果たして帰路についたのだった。
帰りの電車で軽く一杯と思ってワンカップを買って乗ると何故だか千葉についてしまった。「やっべ〜新東京の近くだよ、どうしよう。」
バリバリバリバリ、キキーッ!
突然バイクに乗った一人の男が現れた。「私の名前は本郷“和田”猛。杉山レンジャーよ、正義の名を語り私欲のための悪行三昧、許さん! トゥー。」「やばい変身しちゃうよ。逃げようよ渋谷さん」「大丈夫、和田さんはジェーブラッドだ。あのチーム員は変身するんじゃない、変態になるんだ。だから大丈夫、相原さん。」「結構変態も嫌なんですけど……。」
三人の前に立った和田はレザーのブリーフ一丁で黒い蝶々のようなマスクをつけ、ムチと蝋燭を持っていた。その時「なんて格好してるのよモウ!」
バキッ! 突然現れた久美の一撃であっさり和田は倒れてしまった。「最近千葉でも変態は生きづらい環境らしい。なかなか表立って活動出来ないってボヤいてたから大丈夫だと思ったんだ。」
しかし北原が新たな危機に気付いた。「あっ!あそこから酔っ払いの野球選手が長〜いバットを振り回しながらこっちによってくる。」「うわっ! 鴨居さんは“あぶさん”だったのか?」「いやライズの選手はお酒を飲むと“あぶさん”じゃなくて“あぶなん(危男)”になるんだ。でも鴨居さんだけは大丈夫なんだ。」「鴨居さんだけ常識人ってことですか?」
ここは北原もわかったみたいで「渋谷さん、ママってことですね?」「そう、ママがいる限り、悪事ができないんだ。」
期待通りに突然ママが現れて鴨居の首根っこを掴んだと思ったら。「もう、しばらく外出禁止。いい加減にしてよね。」 と、連れ去ってしまった。
こうして杉山カートは全ての敵をせん滅しとうとう優勝してしまった。でも勝ったのが相原で、期待された渋谷と北原の二人はきちんと期待通りに期待外れに終わったのだった。
杉山レンジャーの戦いに終わりの日はない。進め杉山レンジャー!! |