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もやしクンは見ていた「石井ちゃんが……ってた。そして……をやったのが石井ちゃんだった。」 |
フレンズの秋山の走りにぞっこんなのが、実はベアの田中なのだ。田中は「いや〜秋山さんていいね〜。ベアのお客さんならお金を出しても乗ってもらいたい良いドライバーだよね。」と直ぐにでもスポンサーになりたいと言う勢いなのだ。そんな秋山は「いや〜そう言ってもらうのは嬉しいんですけれど、カートを盗まれてからロクな成績をあげていないので……。」と、見る目ないな〜このオッサン! という大人気ない態度をとったが、さすがにカート界の重鎮、田中は「ファーストであれだけ速かった人間が、アクシデントとは言え違うカートに乗り変え、見事な成績をあげるのは並み大抵の実力では無い!」とイタルコルセで遅いのは秋山のせいではないと慰めたかと思ったら、「ファーストさえ良かったら他なんてどうでも良いんだよ。」と耳もとで囁き、恐怖で引きつった秋山を強引に「VRにする?それともV?」と、逃れられない悪の道に引きずり込んだしまった。フレンズの遠藤は秋山を危機から救おうとして「マイドアリ〜♪」と大きな声を出すのがやっとだった。
(阿部)慎利は350を単なるステップアップのクラスとしてしか考えていない。大きな夢が有るからだ。そんな慎利に初参戦について聞いてみた。「自分にレーサーとしての才能は有ると思います。後はどんな競技でも、まず社会人としてキチントしていること。そうで無いとチーム全体の力を押し上げるなんて出来無いですから。」と語り、飲酒に関しても食事の時にきちんと「僕にも一杯ちょうだい。」ときちんとことわるし、タバコは心配かけないように絶対に見つからないように吸っているし。学校は彼女が居るから楽しくって休むなんて考えられないし、とグレることなく健全に生活していると爽やかに笑って答えてくれた。
もう一人の初参戦井口は日頃から努力を惜しまないタイプのようだ。井口は「生活全てをレーサーとしての訓練の一部として取り入れています。僕ほど努力をしている人間はいないと思います。」と反射神経を鍛える為にゲームは毎日3時間、知識を養う為に少年マガジンだけでなく少年ジャンプ、少年サンデーを欠かさず読み、身体のケアに関しても怪我をさける為階段は使わずエスカレーターを使用し、短い距離でもバスや電車に乗る事を心がけていると言っている。恐ろしい新人だ。
昨年パンサーツアーで長く帝王とくし君臨した中村が引退した為に、その座を巡って熾烈な戦いが繰り広げられていた。その中でチャンピオンに一番近いと言われているのが苅米だ。そして苅米は念願のチャンピオンに向けてパートナーをPRDクラスでパットしなかった森を内部昇格させ、自分のフォロー役として抜擢、万全の体勢だと思われたのだが、意に反して森が速かったのだ。自分を差し置いて350のトップクラスで活躍、全く蚊屋の外に置かれた状態になってしまった。過去の実積を考慮してエース扱いして欲しいと苦情を言ったところ監督の中村が「なにを言ってるんですか苅米さん、森君ではダメなんす。すっごく期待してますから。」とレースは森に任せて今年は売上で貢献して欲しいと言われている。
石井は初戦こそ優勝したものの、その後悪役に転向、サミングやチョーク攻撃などインサイドワークで恐れられる存在になっていた。3戦目ともなると石井を警戒したライバル達は不用意に近寄って来ず、得意の攻撃が出せず今回も下位に沈むかと思われたが、突然場内に『スカイハイ』が流れた。♪チャ〜チャチャッチャッチャチャ♪〜軽快な音楽にのって石井はガードレールまで飛び、その反動を利用してフライングボディーアタックを敢行、結果は自爆、リタイアとなった。しかし勝負を諦めない石井は「覚えていろよ!」とコースのまん中でレースが終わるまでマイクパフォーマンスをしていた。
湯山がボ〜ッとしていた。朝からず〜っとボ〜ッとしていた。当然タイトラは散々だった。でも目が覚めないのかボ〜ッとし続けていた。レースが始まった。それなりにスタートしたものの相変わらずフラフラと呑気にレースをしていた。気付いたらゴールだった。8位入賞1ポイント獲得、オーバーテイクポイントで3位に躍進、どんな事があろうとも結果だけは付いてくるのだ。皆からコラコラとたしなめられていた。
松井はやる気満々だった。「今日は優勝しっちゃおっかな〜。」なんて浮かれていた。実力は申し分なかった。身体も元気だった。気力も充実していた。スケベ心丸出しでベアのテントに行ったらボロボロのカートが置いてあった。見事に見抜かれたスケベ心はやるせないストレスとなって中年太りを少しだけ押し進めた。皆はヨシヨシと簡単に策略にハマる松井を誉めてあげた。
丸塚は「今日は一杯居るな〜」と思った。 |