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| スタート前の別に緊張していない一団。将来のF1レーサーはここには居ない！！ |
パンサーツアーがカート界で異質な存在として認められ、各方面から色々問い合わせが有る。多くが「３５才以上なので参加したいが、実際どんなレースなのか？」という質問だ。事務長幾橋もこれらの問い合わせに丁寧に「あ〜！！ 一見さんお断りだよ！」と紫綬褒章ものの適当さで受け答えしている。参加希望者に対して失礼な話だが、田中が受け答えをしたらもっといい加減なので、現状は放置状態だ。そんな事務局に、「わたし、ワンちゃんと一緒にレース出たいんですけど、良いんですか？」と不思議な問い合わせがあった。「どこでそんな話を聞いたんですか？」「茂原の大会を見学に行った時、お猿が運転しているカートを見たので、ワンちゃんも大丈夫かな？と思って電話したんですが……。」と言うのだ。事務局は「それは阿部勝さんという方で、ペットの参加を認めている訳ではないんです。」と丁寧に応答したのだが、どこでどう嗅ぎ付けたのか、日本のジャーナリズムはとても優秀らしく、その日の読売新聞に『新種の猿発見！！ 千葉県茂原市でアベマ・サルという新種が確認された。発見者によると車の運転ができるらしく、非常に知能が高く、類人猿と人間の中間の種類ではないかと注目を集めている。』と報道されてしまった。事務局は、いい加減な報道に対し阿倍の人権を守る為に、研究機関や見せ物小屋に向け一番高く買ってくれる所に阿部を売るっても良いとコメントを出した。
冨田の速さの秘密は中国の秘術のお陰だった。パンサーツアーの参加者の多くが悩んでいる中年太りにやはり冨田も悩んでいた。元々食通の冨田にとってダイエットするくらいなら死んだ方がましと考えており、少しの運動ではどうしてもカロリーを消費できない状態で苦労していた。しかし最近の新聞報道で究極の食材を発見した。そう“ダンボール入り肉マン”である。報道では酷い食品として紹介されていたが、そこは中国4000年の歴史、食べてみると無茶苦茶旨いのである、そしてヘルシー。人格者の冨田は自分だけでこれを独占する事はしなかった。そう、ことしフレンズで今年出してくれている食事やお菓子はすべてダンボール製なのだ。そしてダイエットが見事に成功するくらい食品安全性は低いので安心して食べて欲しいと語っている。
年間のＭＶＰを獲得した渋谷にとって天国の様な毎日が続いている。行く先々で天才とあがめられ、女性ファンが追っかけてくる等生活が一変してしまった。元々ストイックな渋谷は多くを望まないのだが、少しだけ心残りになっている事がある。それは優勝していないことだ。やはり優勝という甘美な響きにはひかれるところがあった。そしてストイックな渋谷は愛人も欲しいな〜と思っていた。もちろん欲望を極力押さえるタイプなので天下り先と裏献金はくらいで良いからと、実に質素な望みしか持っていなかった。もちろん麻薬の横流しや拳銃の密売くらいしかしていなかったので、税金は払っていおらず長じゃ番付には載らないくらいの細々とした暮らしをしていた。「優勝したいな〜。」ストイックな渋谷のほんのささやかな夢がこれなのだ。
同じＭＶＰ男の北原は渋谷と違って大きな野望を持つ男だった。北原は「大きなタイトルを獲って、ただ喜んでいるというのはナンセンスです。そこからもう一段階大きなことにチャレンジして行きたいですね。」とその抱負を語ってくれた。北原の行動はドラスティックなものだった。昼食のアジフライ定食に冷や奴を付けるという暴挙にでたとおもったら、綺麗な女性に対しボ〜ッと見ている等、やりたい放題で、パンサーツアーでも予選で二人を凌ぐ下から三番目という思いきったタイムを出し、着実にその存在をアピールしている。北原に「ではこの次の目標は優勝ですか？」と尋ねたら「馬鹿なことを言うんじゃない！ 優勝なんて小さい！ 今回の目標はポイントを獲ることだ！バカヤロ〜！！」と語り本当に実現してしまった。大きな野望を持つ男北原の今年の最終目標は、パンサーツアーのイヤーエンドパーティーで表彰されている人をしり目に、バイキング料理を思いっきり食べる事だと言っている。まったく恐ろしい男に成長したと杉山カートでは大変取扱に困っているということだ。 |
