今年一勝している倉澤だがここのところ表彰台から遠ざかっている。そこで一周でもトップをとたいとピットストップを遅らせる作戦にでがのだが、残念ながら最高で3位までだった。
実はパンサーツアーには、開催初年度から不思議な楽しみ方をする人たちがいる。最終リザルトでは上位にいけないので、電光掲示板で最高何位まで上がれるかを楽しむ人たちだ。そう、ツアーではピットインの義務がある為に、ピットインを遅らせることで電光掲示板に自分のゼッケンNoを表示させることができるのだ。もちろんただゼッケンNoを表示させるのが目的では無い。夜になって有人や家族、あるいは呑み屋のネーチャンに向かって「今日のレースはトップを走ってたんだけど、後半ピットストップの時に抜かれちゃって、いや〜もったいないレースを落としちゃったよ。」 と、エラそ〜に語るのが目的なのである。もちろんこの言葉にウソはない、ただ実力で負けたのが、運が悪くて負けたように相手が勘違いするだけなのである。
そこで倉澤も日頃の特訓の成果を披露し「今日のレースで3位から上位を狙ったんだけど、ピットストップで5秒も止められたから、いくら僕でも勝てなかったよ。」 と語り、言い訳さえ旨ければ、レースで勝つより簡単にヒーローになれるというテクニックでは既に、表彰台クラスだということを証明してみせた。
後藤が職人的レース運びを見せ、周囲から絶賛を浴びている。
今回後藤はストップ&ゴーに近い榛名のサーキットで不利を感じていた。どうしても小さいコーナーではカートの速度が落ちてしまう為、エンジン回転数がパワーバンドから落ちてしまう為、体重の重い参加者の加速が鈍るからだ。そこで後藤はタイムのばらつきを極限まで無くし、見事にベストラップが14番目のタイムで6位と不利なサーキットで見本のようなレースを見せてくれたのだ。その事についてチームの事情通によると「後藤さんにとってタイムを揃えるのは簡単なことなんです。一通りしかコースの攻略法を覚えられないんで、誰にも負けないと思います。」 と、後藤のある意味超人的な記憶力が、神業的レースをなし得た秘密だと教えてくれた。
和田が思い通りのレース運びで年間チャンピオンの座を確実なものにした。
掛川で優勝し、ポイントランキングでも2位に20ポイント近く話してダントツの一位の和田にとって、ここ榛名ではポイントを稼ぐよりもボーナスを着実に減らす事の方が重要だった。そして7位とその思惑通りのリザルトにチーム関係者からも事実上の勝利宣言がなされたほどだ。和田は「ツアーではやみくもに頑張り過ぎるとボーナスが全く減らないのでシーズン後半に辛くなったりします。頭をつかった計算が出来ないとチャンピオンは獲れないんですよ。だから勝因は僕の頭が良かったということじゃないですか。」 と、足し算と引き算ができれば、ツアーのポイント計算ができるので、分数の割算が出来ないからって頭が悪いといわれるのには納得がいかないと、以前『平凡パンサー』で暴露された事を根に持っていた。
驚いた事に榛名で一番多くのリードラップをとったのは田中(敏)だった。実はこれには驚くべき事実が隠されていた。田中は脳内の情報伝達の回路が細い為、ドライビングに集中するとその他の情報の伝達が異常に遅くなってしまうのだそうだ。その為、今回4周目にピットインしようとすると思いブレーキを踏みピットレーンに入ろうと思ったのだが、脳の命令が全身に行き渡るのに15周ほどかかってしまった為、実際にピットレーンに向かったのは19周目だったそうだ。その為8周に渡って電光掲示板のトップに田中が居続けたらしい。榛名の掲示はそのことについて「電光掲示板の調子が悪くなるので、遠慮して欲しい。」と、迷惑だったとコメントしている。
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