パンサーツアーで新記録を更新しつづける男がいる。倉澤だ。
実はツアー参加者は意外にまともで、速い人間はだいたい速いは年齢と供に徐々に落ちて来て若い人に抜かれ、若い人や新人もだんだん速くなってくるが、いきなり速くなることは殆どない。しかし倉澤は優勝と圏外しか経験したことがなく。チーム監督がどう接して良いのかわからない成績を残し続けている。
そんな倉澤の成績をチームから相談された早稲田大学客員教授の尾木ママは「小学校にもたま〜にそういう才能が伸びるか止まるかの瀬戸際の子がいるの。そんな時どうすると思う? しばらく放っておくの。そしたらさ〜、倉澤ちゃん寂しくなって寄ってくるから、その時に悪かったことだけ誉めてあげるの。そしたら伸びなくなるから安心して。だって才能伸ばすより潰す方が簡単だから。倉澤ちゃんの為に苦労するなんてバカみたいでしょ〜。それに他人が才能を伸ばす姿ってムカつくのよね〜、そう思うでしょ?」 と、適切な対処方法を教えてくれた。武蔵野では『ムカつく』という所に大いに共感したため、この教育法を徹底して行うらしい。
三上が民主党の代表戦への出馬を真剣に考えているらしい。それは日本経済に対し言わなければならない事があるかららしい。。
この5年間で総理大臣がコロコロと変わり、財政赤字を立て直すどころかさらに拡大させ、そして一番大事な日本経済が沈滞化し、全く元気がなくなってしまっている。そんな状況を三上は冷静に分析、難しい理論で日本経済を動かす事は無理だと考えているので、見い出した答えをさらに真理へと近付けるため、この6ヵ月間というもの、寝る間を惜しんで研究し、さらには自身の財力を活かし、学者を数百人単位で動員し、東洋一の経済シンクタンクを結成。今、日本経済に一番必要だと思える答えを導きだしたのだった。
「三上さん、その答えは総理大臣にならなくてはダメなんですか?」
「いいえ、そんなことはありません。しかし一番効果的に機能させるのは総理大臣として発言することだという答えも出ています。」
「それは、どんな答えなのでしょう? ここで教えてもらうわけにはいかないでしょうか?」
「大丈夫です。たった一言、その言葉がいえれば、日本経済の未来は確実に明るい方向にむかうでしょう。」
「たった一言ですか? それだけなんですか?」
「そうです。たった一言なんです。」
「それでは三上さん、お願いします。」
固唾を呑んでみんなが三上の一言に注目した。しずかな時間が流れた、そして三上が口を開いた
「円高で、エ〜ンだか?」
「……。」
「……。」
「……。」
次の日、三上を車ではねても、罪には問わないという法律が可決された。
小渕は誰にも負けない必殺技が有る。しかし残念ながら発揮できる場面がほとんど無いのだ。そう、小渕の必殺技は"坂道発進"だからなのだ。小渕は「そうなんです。小さな技術でも完璧にこなす職人がいるのが日本の誇りです。だから私はスタート、それも坂道での発進にこだわって来ました。エンストすることなくエンジンをスムーズに回し、氷上を滑るように加速して行く発進では誰にも負けない自信があります。」 と、小さな面にも妥協しない姿勢を見せた。もちろんチームも小渕の一途な面を評価しており。小渕のことを影で"小さな男"と呼び、見習う所を今一生懸命に探している段階だ。とリスペクトしていた。
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