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カメラが石井ちゃんにピントを合わせるのを拒否してしまいました。 |
昨年までGG500に特別枠で参戦していた岡澤だが、流石にチャンピオン争いに加わるという下品な行動に出た為『私は人間失格者です!』と書かれているGG500特別ライセンスが失効となり、『私は凡人です!』と書かれている350ライセンスに格下げになってしまった。
この出来事を一番喜んだのはOG350の参加者で、「やったーこれで最下位は岡澤君で決まりだー!!」とGG500クラスとのタイム差から、2011年は最下位になることは無いと、胸をなで下ろしたのだった。
しかしベアレーシングに所属するレーサーは、他のクラブに比べて異常に軽薄でお調子者という特長を持っている為、岡澤は練習でタイムを延ばすことなく、周りの雰囲気にあわせるという日和見的な態度をとるだけで、タイムを0.5秒以上あげてしまったのだった。そのことについて岡澤は
「いや〜人生ってチョロいですね〜。こんな感じで仕事するとあっという間に出世しちゃいそうですね〜。」と上機嫌だった。
実は、ベアレーシングに参加した時点で、人間の価値が半減しており。周囲の人間に信用されなくなったばかりか、戸籍謄本にはバッテンマークが一つ追加され、奥さんに東京都から、離婚もしくは最低でも夫婦別姓をすすめるパンフレットが内緒で届けられている。
ファクトリーユーは実にマッタリとした雰囲気のあるクラブである。しかしカートには厳しく、パンサーツアーに参加している吉田はなんと全日本でポールをとった経験があるばかりか優勝までしているというつわものだ。吉田にチームの内状について聞いてみた。
「そうですね、うちの社長が言うには『荷重移動を理解するのは重要だが、どうせ中年太りしてくるんだから、実は覚えても無駄。』とか『動態視力を鍛えるとレース中意外に有利だと思うかもしれないが、町中で良い女を見つけるのに使った方が人生にとって有意義だ。』とか『カートで優勝したかったら、マリオカートで優勝を目指すのが一番の近道。』とか教えてくれます。」と困った顔をしていた。
実は、普通のカートチームは一概に嘘つきで真実を隠しているが、ファクトリーユーだけが"本当"の事を教えてくれる。
そんなファクトリーユーから初参戦となったのが高橋だ。高橋の事を詳しく語る前に、このチーム員がどんな人間か判断する明確な基準がある。それは社長に本当のことを教えてもらってカートを続けているということは、間違い無く頭が悪いということだ。だから高橋もたぶんその程度だと思われる。そのことについてチーム員に聞いてみた。
「高橋さんは別に頭悪く無いですよ。ガッツ石松さんより上で具志堅用高さんとはタメくらいかな〜。特に数学は天才で、二桁の足し算が出来ますから、チームには無くてはならない人なんです。」と教えてくれた。
その話を聞いて、ファクトリーユーは想像していた以上のレベルらしいと、事務局は急遽よだれ掛けとガラガラをピットに用意するべきかと検討に入った。
今年は350クラスで唯一の女性レーサーとなるのが久美だ。石井とともにツアー最速といわれているだけあって、初戦は余裕のボロボロ型落ちのファーストを倉庫から引っぱりだしてきた。もちろん今年サポートしてくれるベアのメカニックに対して、女性としての心遣いからファーストを選んだのだった。
朝の練習走行ではやはりタイムの出ないシャーシに対して文句も言わず我慢して
「何このシャーシ!よくこんなもん売ってたわね!」
と、メカニックに気をつかっていた。
タイトラではQ3に残ったものの、自身のコースレコードに遥かに届かないタイムしか出せなかったにも係わらず、シャーシの性能をより良く出す為に、メカニックには
「次の御殿場では、ファーストは全とっかえよ!トニーに変更して!!」
と、間違い無くタイムが出る指示を出し、自分だけでは無く周りのレベルアップを図る等、人間として大きな一面をのぞかせていた。
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