「こんにちは、猪野留実さんです。初参戦ということでインタビューをさせていただきます。宜しくお願いいたします。」「こちらこそ、宜しくお願いいたします。」「善子ちゃんはとても速いと言ってますが。」「善子ちゃん? ええ、あのとっても可愛い人ですね。そんに速くはないですよ。」「そうですか、実は女性が容姿をほめる女性って大体可愛く無いですよね。善子ちゃんには容姿では勝っているということですか?」「えっ?そうなんですか?そんなこととは関係無しに可愛い人だと思ったんです。」「そうですか。では、負けているってことですね。」「勝ってます。」「……。」 留美は、勝負に対していつもきびしい。
「つぎは、新東京の貴公子、『若さま』こと若林さんです。こんにちは。」「こんにちは。」「聞く所によると、手塚さんの講師も努めている実力者という話しですが。」「そんな私はまだまだ、そんな実力はありませんよ。聞き間違いだと思います。」「では、手塚さんの子牛? ってことですか?」「いや、家畜じゃないし。」「では、手塚さんの格子? ってことですか?」「だから、家畜でなければ、家畜関係でもありませんって。」「では、手塚さんの後肢? ってことですか?」「だから、モモ肉じゃないし。」「では、手塚さんの光子? ってことですか?」「ミツコって、読み方変わってるし、性別変わってるし、飼われてません!」「するとカウ……COWってことですね。」「モ〜っ!」 若林に会った時は『ミツコちゃん』と呼んであげて欲しい。
「つぎは、青木さんです。善子ちゃん情報によりますと、ツアー向きのポテンシャルを持っている凄い人だということです。」「え〜っ、どんな情報がはいてるんですか? 新東京でも、そんなには良い結果をだしてはいないんですけれど。」「え〜と、青木さんは、職業が東南アジアで海賊をされてまして、マツコデラックスの大ファン。現在は指名手配中のノリピーをかくまっており、銭湯では、“この顔にピンときたら”というタイトルのポスターで人気者だという情報が入って来てます。」「え〜、どうして?」「たぶん善子ちゃんの印象が薄かったので、適当なことを書いてよこしたんだと思いますが。」「どうして、マツコのことバレたんだろう?」「……。」 本当かどうかわ定かでは無いが、資料には深海魚とのハーフだとなっている。
「つぎは、もっと酷いことになっています。山平さんです。こんにちは。」「こんにちは、酷いことってなんですか?」「え〜と、取材もしていないみたいな、資料が届いています。」「え〜それは酷いな〜、で、どんな中身なんです?」「資料によると、『遠目から見たら、おっとりして優しそうな人だった。でも、外見に誤魔化されてはいけない。ようく観察してみることにする。どうやら山平さんは呼吸をしているようだ。生き物かもしれない。おっ、歩いている。歩行ができるということは、かなり高度な生物のようだ。やっぱり思ったとうりだった。道具を使うことができる。チンパンジー並に発達した脳をもっているようだ。よし、石を投げてみよう。……残念ながら直接当てることは出来なかったが、近くにあたり、大きな音を出すことには成功した。なんのアックションも無かった。……では、側に30円おいてみることにした。全く興味をしめさない。お金の価値観が解らないようだ。女性モノの下着をおいてみた。……これもダメ。あっ、子どもが山平さんに水をかけた。……山平さんはうれしそうだ。……良くみてみると先ほどの子どもがそばで何かを書いている。観察日記? そうか、山平さんに水を与えて、夏休の宿題の観察をしているんだ。そうすると山平さんは植物ってこと? 動く植物? そうか粘菌なんだ。
……結論、今回新東京は参加者が多く、色々行き届かない所があったため、そんな所からカビや菌が発生し、山平さんが生えて来たらしい。夏場にかけて色々不衛生なこともあるから注意しないと。あ〜気付いて良かった。』と書かれています。」「そうか、俺は粘菌だったのか。いや〜ツアーって勉強になりますね。」 そういって、山平は美味しそうに水を飲んだ。 |