事務局メンバ−がトップ争いに帰って来そう?な勢いだ。元々事務局のメンバーは練習嫌いといわれている。それが今年のオフシーズンに走り込みをしたらしい。
幾橋・丸塚は山本・風戸を誘いテストを繰り返していた。丸塚が朝一からしか入らないのに対して、幾橋は気合いの10時半入り、そして前回走ったままの全く整備していないカートを持ち込み、最低限の調整をゆっくり午前中かけて仕上げるといった、綿密なプログラムでやる気を見せていた。そんな幾橋を見て丸塚も、午前中から何回もコースに入りカートのテストを繰り返すといった気合いのいれようで、驚くべきことに1回の走行距離がなんと5周と、信じられないくらいのロングディスタンスで体力の限界まで乗る姿勢は、ツアーの参加者にも見習って欲しいと思う。
午後になり幾橋の登場となり、その日の参加者のタイムをいきなりソコソコのタイムで下回ると、その後他人のカートで遊んだり、バカ話しをしたりと、自分のカートには乗らないという究極の練習方法を取り、周囲を驚かせ。丸塚も相変わらずの5〜6周のロングディスタンスを続けているかと思いきや、こちらも他の参加者に自分のカートのドライビングを任せ、見ているだけという徹底した現場主義を貫いていた。
これらの驚くべき手法でカートのテストをこなしていた二人は、その日参加していたメンバーの中で目標タイムに達していないのが二人だけになるという、驚くべきタイムで周囲から特別な目でみられ、しょうがなく一番最後のセッションで目標タイムをクリアするという離れ技を披露、そのテクニックの確かさを証明した。
実に幾橋は、一日コースに居て、自分のカートでコースに入ったのは2回という気合いの入れようで、丸塚も朝一から走りだしたのにも関わらず、午後から走ったメンバーと周回数がほぼ同じという恐ろしい距離をこなしていた。
当然これらのテストの結果はレースに反映され、丸塚は7位入賞、幾橋にいたっては3位表彰台と見事にソコソコのリザルトを手に入れていた。これらの結果から、怠け者から練習の鬼と化した二人は間違い無く次戦いではトップ争いするはずだ。必ずマークしておかなければいけないだろう。(記載の練習態度はほぼ事実です。練習の参考にしてください)
玲於奈は、ベアレーシングのWORKSのドライバーだ。当然の権利として様々な特別扱いを受けている。朝一から一緒にトラックに同乗し、テントの設営や、テーブルの配置。おなじベアレーシングのチームメイトのカートの積み降ろしなど、やらせて貰えるのである。チームメイトがエンジンのオーバーホールをレース直前にやった場合等、レーシングマシンをナラシドライブさえできる権利さえも持っている。玲於奈の乗るレーシングカートに至っては、数年に渡り誰かがレースで使用し、セッティングを突き詰めた“王子様仕様”と呼ばれるカ−トが常に用意されているのだ。もちろんタイヤも誰かが毒味を1レースはしているものが用意されている。玲於奈はそんな特別扱いを嫌がるが、父、敏久は息子を溺愛し、周囲の意見を聞くこともなく、この特別待遇を続けるのである。ベアレーシングのチームメイトも、御曹子なので「玲於奈、カート持ち上げるの手伝って。」と特別扱いせざるを得ないのが現状だ。
ベアレーシングサービスのWORKSドライバーとは一般的な“WORKS”ではなく“WORK”に複数形の“S”がついたドライバーのことを言う。誰もが憧れる待遇だ。
久保田は眼鏡をかけたままでカートに乗るレーサーである。しかし眼が悪いわけではない。実はあれはROWDYが開発した秘密兵器“ウルトラアイ(眼鏡市場仕様)”という激安メガネ店に制作させた。ドライバーの変身アイテムなのだ。その使いかたを久保田に聞いてみた。「あれは、胸元から一度前に差し出して、そして『ジョワッ!』って叫びながら眼の上に重ねるように持って来るのです。そうするとウルトラ・レーシング・カーターROWDY SEVENに変身できるんです。」
と、教えてくれた。しかし驚いたのは変身後の久保田自身の身体の変化についてだった。「ROWDY SEVENに変身すると、お風呂でシャンプー時に頭髪をモヒカン見たいに立てると、ブーメランのように飛ばして武器にすることが出切るんです。そしてウルトラアイから見る景色にも変化が起きて、長野名物の蜂の子やザザムシが美味しそうに見えて、なんの抵抗も無く食べることができるんです。」と、語ったことだった。そして驚くべきことに、全くカートには役立たないという優れものらしい。 |