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2位表彰台をゲットした久美さん。放っとくとドンドン勝ちそう、参ったな〜!! |
斉藤の長い戦いがようやく終った。ベアでは“レーサー斉藤”と呼ばれているようにテクニックでは元々評価は高かったが、なかなか結果に表れなかった。それは内部の幾橋や藤堂とのスピードレースに体重で出遅れていた為だと誰もが思っていたが実は、原因はまたしても田中であった。そのことを斉藤は「藤堂さんやイクちゃん達は交渉がうまく、田中さんに対して乗りたいフレームを実に旨く購入していたのでうらやましかったんです。僕はいつも田中さんに負けてましたから。」と自分に合ったフレームを手に入れたことが勝因だと語った。ベアでは各々が好きなカートを買っていて気軽に乗りくらべられる環境にある、ようやく合ったカートを手に入れた斉藤は実力を発揮、ようやく優勝の栄冠を手に入れた。
しかし、斉藤にTTでは別の敵が現れていた宮本だ。実は宮本、元全日本にも出ていた素晴しいレーサーなのだが、いかんせん彼の性癖が邪魔をして成績が上がらなかった、“新車病”である。宮本は新車を見るとどうしてもぶつかってみたくなるのである。開幕前つま恋で行われたパンサーのレースでも幾橋の新車(本当にシェークダウンの車)に激突、その新車効果を奪ってしまった。今回もピンポイントで“新車”の斉藤とからみ、その実力を垣間見せた。宮本は「あ〜気持ち良かった〜。あの剛性感がたまらないんです。」とマニアックな感想を述べた。チーム監督の杉山は「人様に迷惑をかけてはいけない、やるんならウチのお客さんのカートにしなさい。私が儲かるから。」と人間味溢れる良い話で皆の涙を誘っていた。
350クラスと500クラスに分かれたお陰で藤堂は350クラスでも年長者の一人となってしまった。藤堂は「やはり個人のレースとして楽しむだけではなく、責任感を感じます。」と語り若手のドライバーを気づかっていた。レース序盤、若手成長株の宍倉がゼブラでバランスを崩しタイヤバリアーまで飛んで行ってしまった。それを後ろで見ていた藤堂は「戻って来い!レースをあきらめてはいけない!」と思わず檄を飛ばした。腰を打ってレ−ス続行が不可能かと思われた宍倉も「藤堂さんの声が聞けました。」と必至でコースに復帰、江戸っ子藤堂は全力で帰って来た宍倉に「頑張れ!」とエールを送り「でも、辛そうだな。」と思わず激突、トドメをさしてしまった。それを後方で見ていた丸塚は「なにか新聞のネタがないかと思って。」とさらに激突、その後ろから「人の集まる所に商売のチャンスあり!」とパンを並べに牧田がさらにぶつかって来た。現場は人込みでゴチャゴチャの祭りの賑わいを思わせた。叫ぶ声、笑う声、様々な思いを乗せて、一陣の風のごとく駆け抜けるカート達。弥生3月春真っ盛り、つま恋の午後はいつもと全く変わらないパンサーツアーの風景だった。
いつもと変わらない人達をよそに今回皆を驚かせたのが久美だ、2位で表彰台に登ったのだ。久美は「あんな馬鹿な男達は放っといて、やっぱり美味しい所をとらなくっちゃ。」と終始ニコニコ顔だった。しかしジャパンカートがパンサーツアーの特集を掲載したため、せっかくの“お立ち台フラッシュ”に載ることができなかった。久美は「6月号はとても品がなくってね。」とJK誌の未来を気遣っていた。 |