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新婚生活を送る幾橋事務局長。さてどうなることでしょう。 |
レース経験わずか2戦目にしてすでにベアレーシング・パンサーツアー500クラスにおいて
最速のレーサーになってしまったのが岡澤だ。「しょうがないので、僕はベアの王者として、世田谷区碑文谷の一角のみで君臨したいと思います。」と、子供達には聞かせられないくらい小さい目標を掲げた岡澤だったが、意外にも世間に受けて小学校の道徳の教科書に載る事になった。
その内容とは「東京都に済む岡澤さんは、ハゲていていい加減で嘘つきのレーシングクラブの社長を、差別する事なくつきあってあげたおかげで、そのチームのトップにまで上り詰めました。さて、この岡澤さんのどこが良かったのでしょうか?」「ハイ!自分もハゲているのにもかかわらずヅラで隠し通し、上から目線を保つ事ができたことです。」「ハイ! 裏で汚い工作をしたにも関わらず、世間には、小さな目標を掲げ、美談として伝わるような位置に自分を置き続けたことです。」「ハイ!虐めても気付かないバカを相手した、異常な運の良さです。」「そうですね。みなさん正解です。真面目に努力するよりも、こうして上手に生きていける大人になりましょうね。」岡澤は子供達に微妙に尊敬されている。
この間、ちょっと時間が空いたので、ベアの田中は幾橋、丸塚とチーム内の掃除をしていた。カートや部品は相変わらず、捨てて良いのか悪いのか分からないモノばかりで、あまり片付いたとは言えない状態だった。「田中さん、メンバーの掃除する?」「場所はとらないけど、一番いらないのは阿部ちゃんかな〜」「燃えるゴミでだしちゃおうよ」と、言う事で阿部に柿の木坂1丁目の角に座っててもらった。
「あちゃー、やっぱり持っていってくれて無いね〜。」「あっ、札が付けてある。え〜と、『阿部さんは粗大ゴミになりますから、コンビニ等で処理手数料をお支払いの上、シールを貼ってお出しください。詳しくは各区役所までお問い合わせください。』って書いてある。」「じゃあ、電話してみるよ。......えーと世田谷区役所さんですか?阿部ちゃんを粗大ゴミで出したいんですけど。」「阿部さんは、最近増え過ぎて、昨年末から取り扱いを中止しております。」「阿部ちゃんって、一人じゃなかったんですか?!」「ええ、阿部さんは、梅雨時に表に放置しておくと分裂してどんどん増えてきますので、できましたら乾燥して日の当たらないところで保管してください。」「え〜っ!阿部ちゃんて分裂するの?」あわてて、阿部が座っているゴミの収拾場所までいくと、運悪くにわか雨が降った後らしく、阿部が三人に分裂して、ちょっとはにかんでいた。「うわっ、凄い迷惑!」粗大ゴミ感が確実に3倍になった阿部をみて、途方にくれるしかない三人だった。
500クラスは本命のWSS-ロボットが出遅れた為大変な混戦になっている。そして現在ポイントをリードしているのが、こちらもチャンピオン候補のトータスRCだ。トータスRCは不思議なチームだ。冨田や山本、山形といった絶対的なエースを持つ各チームとくらべてエースの和田の頼り無さといったらパンサーツアーで一番だと言っても過言ではない。ではサブの関根が頼りになるのかと言えばそうではなく、存在感だけは超一流だが、裏切り感満載の凹凹コンビである。
和田が何故常に上位にいるのかチーム監督の中村に聞いてみた。「え〜!和田さんが、ポイントで3位!チームはポイントリーダーなんですか?うわぁ〜似合わね〜。世の中狂ってますよね。」と、車のポテンシャル以上のものをいつも引き出してくれるので大変嬉しいと語っていた。ライバルの山本も「うそっ!和田さんに負けてんの〜? 全然想像もしてなかった。まあ今だけだと思うけどビックリしたな〜。」と、想像以上のインパクトで危機感をつのらせていた。事務局も和田がチャンピオン争いに加わってくる事を想定して新聞社に対して「和田さん?上位なの?へ〜っ」と、正式コメントを発表した。 |