「だって誰も石井さんにセッティングを聞かないですから。」「高等すぎて分からないとか?」「卓越した技術と知識を持った人は元々ツアーに参加しようとは考えませんから。」「でも、ちゃんと調整されているんでしょ?」「時には、同じモノをつけたりはずしたりをくり返してる時もあります。」「でも、石井さんの車はいつも完璧だと聞きますが……。」「はい、完璧にいじりまわされています。でも速いわけではありません。」「じゃあ、なんの為にセッティングをしているんでしょうか?」「固執性機械調節異常症候群、簡単にいうと変態ってことです。」「精神を病んでらっしゃるんですか?」「そんな生易しいものではありません。」「うつるんですか?」「ハイ。かなりヤバイ状態です。」「うぁ〜大変ですね。当然、参加を認めるわけにはいきません。」
「ところが……、鳩山首相から、石井さんの隔離をお願いされているのです。」「政府からですか?」「そうです。『悪いけど預かっといて』って気軽にたのまれました。」「国家機密か何かですか?」「そんなに難しい話じゃなくて、政策のことを考えてる時に、前を石井さんが横切って、その顔を観たら『なんでこんなヤツの為に真面目に政治をしなくちゃならないんだ!!』ってムカついたのが原因らしいです。」「……。」期待感が高かった民主党政権が躓いているのは石井が原因だったらしい。政府より、ひきつづきツアーで面倒をみるようにと、重ねて要請があったことが後日判明した。
「え〜っと、クズのような人ばっかりが残っているような気がしますが……。では次は今村さんですね。え〜っと……、えっ!! この方は人間では無いんですか!?」「分類は「妖怪」になるらしいです。本人は『河童程メジャーじゃないのが悔しい』って言ってました。」「すみません……、妖怪は仕分けの対象外なんですが……。パスしても良いですか?」「ぞんざいに扱うとたたりますが良いですか?」「タタル!?……カンベンしてくださいよ。どんなふうに祟るんですか?」「今村さんと田中さんが、『晩御飯食べに行こう♪』って誘いにくるんです。」「え〜!! 誘いに来るんですか〜!!」「そして、一緒にお店に行ったら、阿部さんが先に来て待ってるんです。」「スミマせんでした!ちゃんと仕分けします。立派な方なんでご・う・か・く〜・!!」「でました“合格”。ありがとうございました。」「どういたしまして……、くれぐれもお誘いの件……、よろしくお願いいたします。」「任せて下さい。」
「次は、中川さんです。この方は『東京から長野に送られた産業スパイ』という御職業をなさっていると聞きましたが、危険な人物ではないのですか?」「おしいですね〜。本当は『東京から長野に追放された残念な失敗』なんです。」「そんな人に参加する資格はあるのですか?」「500でやってゆく才能が低くて、こちらも困ってます。そろそろツアーでも格下の350に追放しようかと思ってます。」「では、対策済みということで参加を認めます。」「ありがとうございます。」
「あっ出てきました高橋さん。この方は本当にいらないでしょう。」「うわっ、まだ残っていたんですね〜。ちょっと触ってみますか……、やっぱり腐ってますね。」「顔は半分ドロドロに溶けてますが、この方はもう捨てちゃっても良いんじゃないですか?」「レースには全く必要はないんですが、放課後のクラブ活動には必要らしいんです。」「クラブ活動?……ってなんですか?」「ええ、『レースよりもその後でみんなで温泉に行って、足裏マッサージで『ああ〜っ』って言う』って名乗る同好会がベアにはありまして、そこの“カンジ長”をしてるから切れないんです。」「ツアーを裏で支える“幹事長”といったポジションですか、恐い人なんですか?」「正確には“感じちゃう”です。」「……。」 |