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カメラを向けるとなんとなくポーズをとってしまう人 その3 |
ツアーにはショウガないオヤジ達が沢山いるため、阿部の捕獲作戦はことのほか難航していた。現金で誘い出そうかとのアイデアも出たのだが、その時の各ショップのオーナー達の顔色が変わったので、採用にはならなかった。
そこで、阿部に詳しい珍獣専門家のベアの田中に相談する事にした。「田中さん、阿部チャンを捕まえたいんですけど、良いアイデアない?」「えっ? 阿部チャンに用事あるの? ちょっと待ってて。オ〜イ阿部チャン、事務局で何か用事あるって〜!!」「あっ!!」
事務局に衝撃が走った。「阿部チャンが人間の言葉を話すのを忘れてた……。そうか!そういう手があったのか!!」
こうして無事に阿部を捕獲した事務局は、阿部に赤い大きな風船を付けて走らせる事にし、無事レースが開催されることになった。そのことを阿部は「ナンデ??」と言っていた。
遠藤が大きなクルーザーを衝動買いしてしまったと言っていた。その時のことを遠藤は「いや〜、この間茂木を走りに行こうとしたらさ、隣のバンを運転してる男の子がこちらを見て何か言ってるんだよね。車のトラブルかな?って思って止めたらさ。『ゴメンネ〜。実は今から後ろに積んでるクルーザーを納品に行く途中なんだけど、キャンセルの電話が今入っちゃって、見たら貴方がクルーザーの似合うナイスガイだったんで、もしや?と思って声をかけたんです。後ろのクルーザーは定価で1億3千万なんですけど、こんな理由なんでこの現品に限り3千万にしますけどいかがですか?持って帰っても良いんですけど、ビバリーヒルズのリッチマン見たいな貴方がいらしゃったんで、丁度良いかなと思ったんですけど。』って言ってくれて。見たらホントに良いクルーザーなんだ。で即決しちゃったよ。」
と、笑顔で教えてくれた。そしてそのクルーザーはイスカンダルの技術で製作した特別の船で、強盗に襲われた時の用心に波動砲も装備しており、エンジンを全開にすると宇宙空間を飛ぶ事もできるそうだ。厨子マリーナに“大和”というのが停泊しているので、近くまで来た時寄って欲しいと言っていた。デザインは漫画家の松本零士ですごくかっこいいんだけれども、水に浮かないのが難点なんだそうだ。
ベッキーがマッキーに改名したので『じゃあ、マッキーがベッキーになるの? え〜!! ちょっと嫌〜!!』とライズに苦情のハガキが山のように届いているらしい。妙なことで苦情処理をすることになったライズは仕事に差し障るということで、牧田を呼び出し、頭に象さんのジョーロをつけて“ラッキー”にしてみた。すると牧田は華麗なステップを踏んで踊りだしたのだ。「す、す、凄い! 中年のオヤジとは思えないステップのスピードだ。」「ヒップホップをこんなに完璧に踊れるなんて、牧田さんにこんな才能があったとは……」と、皆が感動している間に、メタボな身体が悲鳴をあげ、たった15秒でその場で倒れて動かなくなった。「大丈夫? 牧田さん! 大丈夫ですか!?」心配して皆が駆け寄って来た。「ゴメン! 大丈夫? もう、ラッキーになれなんて言わないから……。」すると、牧田はにっこり笑って一言「タッキーです。」と言った。全員が牧田に石をぶつけた。
近年夏の集中豪雨が大きな災害になることが多くなった。地球温暖化のせいではないかと世界各地でCO2の削減が叫ばれる中、パンサーツアーの全員がその原因を知っていた。そう、全部今村が悪いのだ。
知っての通り今村は天候を自在に操る事ができる妖怪というか妖術使いというか仙人というかとにかく怪しい存在である。自分が調子の良い時は晴れで気持ちの良いレースを演出してくれ、サッサと自分で優勝してしまうのだが、ボーナスポイント等で自分に不利になると思えば、機嫌をそこねて雨を降らしたりする。なんともはや迷惑な力を持っている。
では近年の異常気象は、自然を破壊した人間の文明に対する今村のアンチテーゼなのか?というと実はそうではない。今村にちょっとボケが始まっているのだ。そうそれで、雨粒や雪の大きさを忘れたらしく、つい老眼でも見えるように大きく造ってしまうのが原因らしい。ツアーではそのうちスイカ大の雨粒や手裏剣のような雪が降って来ると、誰もが言っている。
松井がレースに戻って来た。しかも、350ではなく、500にこっそり参加してきた。そして予選でもこっそり前列をゲットし、そしてレースもこっそり優勝した。表彰台にコソコソ昇り、そして静かに人ゴミに紛れた。こんな時の松井は、プライベートでしている悪さを誤魔化す為のアリバイとしてツアーに参加している。 |