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毎回ドラミで同じ事を聞く面々。毎回聞いて無いからいつも新鮮。 |
「木賊川君、なんか今回印象薄く無い?」
「近道すると失格・ペナルティーだけど、遠回りする分には問題無いじゃない。」
「えっ、どうゆうこと?」
「ショートカットが本来のコースで、フルコースは遠回りなるようにしておけばアリケンの悲劇は誰にも起こらないじゃない。」
「それじゃー、皆フルコースを走らないでしょ。」
「教えなければ大丈夫。で『1回ショートカットしてもOK大丈夫です。』とか言っておくと、勝手に解釈して1回しかショートカットしない。」
「え〜汚くない?」
「誰も失格にしたくない親心なのです。」
「じゃあなんで木賊川君が目立たなかったの?」
「“1回OK”の連絡を伝言で回したら全員に行かないでショートカットしちゃったんだよね。」
「可哀想じゃない?」
「だから言ったでしょ“ショートカット”は今回は許されるって。」
「そう言う問題かい!!」
「え〜っと、MVPはやっぱり湯山さんだったの?」
「イクちゃんが忘れてなければ。」
「違う可能性のあるの?」
「だってオーバーテイクキングをMVPにするって事を覚えてる確率は30%くらいじゃない。」
「まあ、30%でも多いと思うけど…。」
「だからさ、湯山さんは朝から壇上にあがって『本年度のMVPを狙っております湯山でございます。一台一台コツコツとやってまいりました湯山でございます。みなさまの協力有ってのMVPですので、なにとぞ本日のレースよろしくお願いいたします。』って演説会を始めてさ。そのあと宣伝カーに乗り込み、白い手袋をはめて『湯山、湯山をよろしくお願いいたします。』って強烈にMVPと湯山って言葉をイクちゃんの脳裏に刻もうと運動してたもんな。」
「そこまでやってくれると有り難いね、賞を上げる立場のイクちゃんも感動してたんじゃない?」
「凄く心がうたれたみたいで『良い人だな−湯山さんて。あんな人がツアーに参加してくれたら、盛り上がるのに〜。』って言ってた。」
「……。」
「それからクーちゃんが、来年に向けてDC-ONEからファーストにしてくれるらしいんだ。」
「クーちゃんて誰?」
「なに言ってんのマルさん、クーちゃんは……、あれ? 誰だろ? 女性ドライバーで350で……」
「善子ちゃん?」
「善子は善子だし……そうか!未だこの時点では“クーちゃん”て呼ばれてないんだ。」
「じゃあ表彰式ではそう呼ばれているわけだ。」
「なんで分かんの?」
「表彰式でくばる新聞に“クーちゃん”の事がでてくるからね。」
「なるほど、表書式では“クーちゃん”て呼べばいいんだ。」
噂では“クーちゃん”って呼ぶと『もう〜』って右フックが飛んでくるらしい。
「じゃあ、“ジョニー”は来年も“ジョニー”なの?」
今年、風戸さんはジョニーウォーカーマクラーレンのステッカーを貼ったばかりに最近“ジョニー”と呼ばれるようになっている。
「だって“ボーダフォン”って呼ぶの? “シーメンス”や“モービルワン”じゃあもっと変だし。」
「わかった ハッキリさせよう。ライセンスの名称通り呼べば間違いが無い。」
「そうか、ライセンスの名前ね。」
それを聞いた時、何故か田中さんがほくそ笑んでいた。
「マルさんは来なかったから知らないだろうけど、御殿場のバックストレートは凄い登りで、真直ぐ登るとエンストしちゃうんで、S字で登って行かなくちゃならない難所なんだ。」
「そんなに凄かったっけ?」
「途中で猿に出会うと、車に乗って来て、後部座席にあるオヤツとかとられちゃうんだ。」
「いろは坂か!」
「だから野崎さんと小林さんのチームはカートをお尻どうしくっつけて、スイッチバック方式で登って行ったから速くてさ〜。」
「箱根か!」
「いや〜凄いなって聞いたら野崎さんの本名はベッカムで小林さんがパトリシアって言うんだって。サッカー(坂)は得意らしいよ。」
「欧米か!」
「……、しかしさ、石井ちゃんって馬鹿だよね。スタートで出遅れてベストラップをたたき出しながら順位を上げて行ったのは良いんだけど、ピットストップ20周目に入っちゃってチェッカー受けられなくて、結局19周完走扱いで最下位。初めてみたよこんな人。」
「田中さんは見たのは初めてかもしれないけど、パンサーツアーでやった事はあるじゃん。」
「……。」
総ては田中さんが教えてくれた話です。 |