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テントで整備を受けるカート達、まん中で50肩のはずの山北さんが働いている。仮病? |
「おいで〜...、おいで〜...」その男の背中から呼ぶ声が聞こえる。「おいで〜...、ピットで休も〜...。」
クラクラする日だ。今日は雨予報だったがズ〜っとドライ、意外に暑い。声の出所は、前を走っている丸塚の背中からなのか?いや、もっとず〜っと前、陽炎の中の怪し気な黒い背中から聞こえる。気持ちの悪い背中だ。
苅米は夢を見ているようだった。「あれ?きれいなオネーさんが誘ってる。」サーキットの両サイドにはミニスカの美女達が並んでいた。例の背中の男がネオンサインに彩られたピットロードに入っていく。続く丸塚は入り口で急に向きを変え入るのをやめてしまった。「丸ちゃん、
財布忘れたのかな〜...。」苅米は、入れなか った丸塚がとても不幸せなヤツに思えた。
ピットロードは華やかだった。赤ちょうちんが 立派な居酒屋フレンズはメニューが豊富で楽しそうな店だ、ゴージャスなネオンのスナック“ベア”では店主自ら呑んでいた。目にとまったの
はキャバクラ“ライズ”「ここにしよう...。」何時も自分が通っている店、馴染みのひろみママがボックスシートに通してくれた。既に可愛い女の子でいっぱいだ。「あれ?席がない...。」
座ろうと思ったボックスシートに空きはなかった。「ママも座っちゃったのかな〜、ママは勘弁して欲しいな〜。」良く見てみると、苅米の席に先ほどの背中の男が座っていた。「ちょっと待
ってて下さい。すぐに出ますから。」振り返っ た顔は木賊川だった。苅米はしかたなく待つ事にした。すぐに出ると言った木賊川はフル ーツを注文した。すぐに出ると言った木賊川
はニューボトルを入れた。すぐに出ると言った 木賊川はカラオケのリクエストを入れた......。 苅米には永遠のような長い時間だった。気が つくとお金を払っていた、ボーナス60秒とレシ
ートには書いてあった。レースに戻ると周りに は先程まで一緒だった人は誰もいなかった。 前を見ると善子の後ろだった。「え〜善子ちゃ んの後ろ〜!」その時苅米は化かされていた事に気が付いた。「ピットに木賊川が出る」パンサーツアーで本当にあった恐い話※である。
セッティングマニアの石井が今年全く良い 所がなかったのだが、ここモテギでは実力を発揮2位に輝いた、石井によると「ようやく、セッティングが見えてきたんだよね。白いカウルか
ら黄色に戻したらもうビッタシ、色によって精神に与える刺激が違うからアドレナリンの出方が違うんだよね。赤だときっと強すぎると思うんだ。」と自説のセッティング色彩論を展開した。
チームメイトの横尾はそれを聞いて「毎回ターボバイザー(黄色)を着けて走ったら良いんじゃ無いの?」といきなり核心を突いていた。 しかしその横尾もレースでは上位を走行中だったにも関わらずトラブルでリタイアになってしまった。チームによるとリタイアの原因は、キャブを少し閉めようと手を伸ばした時うっかりタイヤの経絡秘孔を突いてしまい「ヒデブッ!」
の音とともにパンクしてしまったのそうだ。横尾に格闘技の経験は無く、偶然に起こった出来事だと弁明したが、栃木県警では事態を重く見て業務上過失北斗神拳の疑いで近く事情聴取を行う予定だ。
初代500クラスクビ男の秋山が今年初めてツアーに参加した。今年前半はライブドアと村上ファンドのインサイダー取引疑惑と、強引な株の値付けの告発で警察に追われていたが、
三ツ矢サイダー取引と強引な蕪の煮付けでの苦情だった事が判明、もてぎから急遽参戦いきなりの表彰台となった。フレンズの監督遠藤 は「秋山さんはスピードを活かしポールをゲット、
残念ながら後ろから追われた時に動揺したのが響きましたね...。」と3位と頑張ったが、 秋山は甘いマスクを利用してまだ何かやってるかも知れないと言っていた。
ボーナスポイントの関係でモテギでは優勝できるチャンスが広がり遠藤翼も優勝候補の 一人だった。あがり症の遠藤はTTで緊張し てしまい13位スタートと出遅れてしまったが、
レースではグングン順位を上げてゆき14周目にはトップに躍り出た。「ト、ト、トップ?...。」しか し結局6位と残念な結果に終わった。このことを杉山は「ダメだよ気が付いちゃ、あいつは気が小せ〜んだから、わかんない内にゴールしなきゃ。」と次戦筑波でも優勝候補の遠藤には目隠しをしてドライブさせると言っていた。
※善子ちゃんの後ろの方が恐いという人もいる。 |