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優勝した苅米さん。きちんと整備しているカートはじつはヨボヨボだったりする。 |
遠藤がとてつもないことをやらかした。もちろん優勝経験者なので今回の3位は彼にとって驚く事ではない。しかし苅米のように失格になれるような人格者でもない。なにをしでかしたのかと言うと、彼女を連れて来てしまったのだ。昨年の最終戦のチャンピオン遠藤は今年の1〜3戦を欠場した。杉山カートの情報通によると遠藤は音信不通になりこの時期の行動が実にあやしいらしい。カートに参加せず女にうつつをぬかしていた罪は大きいと事務局は判断、即時拘束し無期懲役もしくは死刑を言い渡すらしい。幾橋はこの判断について「出るクイは打たれるということなのだ。」と青少年の育成について泣く泣く正しい判断を下したと、その胸中を語ってくれた。
14周目、湯山がスピンしてしまった。もちろんバナナの皮を踏んでしまったのだ。原因は『きっと阿部だろうな〜』と思い周りを見渡したらクラッシュパッドの上にやっぱり阿部が居た。取りあえず湯山は「ギャフン!」と声を上げようとしたら後ろから「ギャフン!」という声が聞こえた、中村が突っ込んできたのだ。湯山が「なにすんねん。」とつっこむと「つっこんだのはワシの方やんけ、あんたはボケちゃうんかい!」「おやま〜」「おやま〜ちゃうやろ湯山やろ」「どうも〜しっつれいしました。」と軽いコントをこなして二人でおヒネリを貰っていた。
世の中では不思議な事がおこる。カート界ではトランポはカート屋がやるのが常で、運んで貰えないと遊べないお客がたくさんいる。しかし丹沢の麓、秦野のカート屋ではお客がカート屋のカートを運んであげないと参加できないカート屋の親父がいる、杉山だ。杉山は「カ-ト屋は、カートの面倒を見る職業、運ぶのは運送屋の仕事だろう。」といってはばからない。そんな杉山だがサーキットでの仕事振りは見事なものである。「俺のカート傷つけずにちゃんと運んだか?」「自分のカートぐらい自分で直せよ。」「ぶつけたら修理はめんどくさいから新品を買ってくれ。」「わかんない事があったら聞くから、皆ちゃんと勉強しておけよ。」......カ-ト屋とは実に不可解な仕事である。
カートにも名車というものが存在する。例えば中村を2年連続でツアーの王者に輝かせたトップカートもそうかもしれないが、この場合中村が速かっただけかもしれない。しかしここに2年連続でコンストラクターチャンピオンに輝いたカートがある、昨年幾橋と丸塚が使っていたファーストとDC-ONEである。今年は500クラスのジョーナンの山本と阿部をコンストラクターに導いた乗り手を選ばない名車と言える。もちろん幾橋と丸塚は、山本と阿倍の活躍を心から喜んでおり「返してくれ!」と笑顔で友人達を祝福していた。
今年参戦した全てのレースでポイントを上げ安定した活躍を見せている山田だが、上位に食い込むことが出来ないでいる。500クラスでここのところ調子の良い山形にアドバイスを求めたところ、「食い込む為には、食い込みだよ。」とレオタードの着用をすすめられた。山田にこの事を聞いたみたら「いや〜、速くはなりたいんですけど、エロというより変態ですから、やっぱりレオタードを着てまではプライドがゆるさないです。」とちょっと戸惑っていると話してくれた。このシーズンオフは練習有るのみで、来年の上位を目指すということだ。まずはブルマーの食い込みから始めると言っている。
今回はちょっとしたトラブルで残念な結果に終ったのが秋山だ。スタート直後計測器を落とし、それをつけるのに時間がかかってしまったと言うのだ。秋山はその時のことを「池の中からフレンズの遠藤さんがでてきて、『お前のおとしたのはこの金の計測器か?銀の計測器か?それとも青い計測器か?』と聞くので、『青い計測器です。』と答えたら『とても正直なやつだ。褒美に3つとも着けてあげよう』といわれて3つ付けられたんです。」と遅くなった理由を教えてくれた。正直なのも良い事ばかりではないようだ。もちろんサーキットサービス代金は3倍になっていることも含めてだが。
松井がTTでクラッシュ、少しの間カートを休まなければならないとしょげている。松井に話を聞くと「医者に怪我が直るまでカートは控えるようにいわれています。しかしトモヤから勝負のメールが来ているので男として戦わないわけにはいきません。」と“男はいつも戦場にいるようなものだ”といっていた。松井の戦場は呑み屋だったりカラオケだったりする。
350のコンストラクターは予想通りにライズ&エロッソが獲得したのだが、2位はまったく活躍していないゼロが獲得した。もちろん深い意味はない。 |