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2.GG500 戦評〈1〉
チャンピオン争いの両チームのエース。この時点では阿部ちゃんがどんだけ頑張るかなんて言われていたのだが......
ハルナのスターティンググリッドには普段にも増して緊張した選手が並んでいた。フルフェイスのヘルメットは日常の人なつこいツアーの面影を隠し、緊張したレースの風景だけがそこにはあった。2005年11月13日パンサーツアー最終戦、十数分後にはここで新しいチャンピオンが誕生しようとしていた。

ポールポジションの山本は現在ポイントリーダーだが、その差は僅かに1ポイント、そしてボーナスは25秒と絶対的に不利な状況だった。昨日から参加者に「25秒もあってなんで来たの?」と散々にからかわれていた。しかし山本には秘策があった。レースは独りで戦うだけが能じゃない、相棒の阿部と綿密に練習した必殺技がある。この技をもってすればツアーを征することができる筈だ!シグナルのレッドが点灯した、アドレナリンがでる。そしてブルー!ごう音とともに1コーナーに吸い込まれて行く、山本は最高のスタートダッシュを決めた。「よし!いける。負けてもあのチームオーダーがある限り大丈夫だ。」そう、必殺のチームオーダーとは、山本が阿部に「反省!」と叫ぶと山本の膝に手を起き、阿部が反省のポーズをとるのである。究極の必殺技を手にした山本は高笑いと供に1周めにピットインを敢行した。

スタ-ト直後の2コーナーで最初のドラマがあった。どうしても静かに走れない男、田中が後続を巻き込んだ大スピンをしたのだ。右へ左へ退避したカートが車座に並び、そこへ山北が田中に衝突、せっかくこれだけのメンツが集まったのだからという山北の提言でここハルナにおいて何故か6カ国主脳会議が急遽開催されることになった。テーマは『核拡散問題』としたが田中の「助さん、の立場が無い。」と異論が出、物別れに終り共同声明も発表される事がなかった。参加した富田は「助さんどころか、お銀の入浴シーンもなかった。」と薄っぺらな会議の内容を暴露、この会議に出席し出遅れたことが富田の致命傷になった。

1ポイント差で2位の富田はボーナスが10秒で山本に対して絶対的に有利だった。同じ10秒の鴨居には1ポイントリードをしているため、チャンピオンへ一番近い所にいたのである。しかし田中のスピンに巻き込まれた為、体制を立て直そうと1周めにピットイン、目の前で山本の25秒ストップを見学する羽目になった。この時点で15秒のアドバンテージが10秒のビハインドになりチャンピオン争いから脱落した。その事を富田は「あんな時に慰めてくれる人(かわいい女性)が居るといいな〜。」と語り参加者から「富田さんはクリエイティブでとても素晴しい人だ。」と絶大な評価を得ることとなった。

1周目にピットインをしたのが後二人いる、不思議な事に残りのフレンズの二人、手塚と原口だ。原口は「とても高度な作戦で最初の周にピットインをする予定でした。田中さんのセイで、ええ、田中さんのセイで、本当に田中さんのセイで、まったく田中......」と言葉少なく、田中の頭脳的な戦略に感嘆のコメントを残した。このことをもう一人のチャンピオン候補の鴨居は「フレンズさんは、軽食あり、飲み物有りのとっても恵まれた環境でレースをしているので、我慢できない体質にそだち、直ぐにピットに向かったのではないでしょうか?」と語り、夜の五井の居酒屋で全く我慢しないでドンチャンしているライズのメンバーの分析だけに、行動人類学の見地から非常に重大な発言であったと、理科の教科書に鴨居発言を載せるべきだとの運動が永田町で起こっている。

この序盤の動きを見ていたライズの監督中村は「マズイ!」と感じていた。トップを走る鴨居は阿部にツツかれている、ボーナスで5秒の差があるので圧倒的に不利である。そして山本が無茶苦茶なスピードで中盤を走る牧田に届きそうな勢いなのである。コンストラクター1位の最有力候補のホワイトパウダーズに黄色信号が灯ったのを感じた。「そうだ、ここは苅米さんに力を借りるししかない。」そう思った中村は急遽作戦を変更。「笑いをトル!!」。中村は二人にピットインのサインを送った。
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※パンサーツアー専門誌「PANTHER TOUR」は“少ない取材と”“大きな想像力”で制作されています。
「ちょっと違うな〜」はありうることですが、抗議はうけつけません。投稿のみ受け付けますので、そこんとこヨロシク!
ADVAN PANTHER TOUR Vol.18 第3巻6号(通巻18号) 発行人/幾橋俊之 編集長/丸塚久和 差入/本当に来ね〜な〜 発行所・パンサーツアー事務局/03-3704-0194(FAX)
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