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| 山下と秋山の新しいチーム、ケイスケは別に監督でもなんでもない（一番偉そうだけど） |
トップの蟻馬を追う2位グループの久保は１周目にピットイン、そして続く三ヶ尻と山下、幾橋のアクシデントで中盤からジャンプアップしたのが500へクラスアップが待たれる丸塚、松井、杉山だ。得に松井は「私は何時でも500に上がる自信が有る！ 年齢・テクニック・お腹の脂肪、総てたっぷりと蓄積して来ている。」とアピール、毎週ホッピーと焼き鳥の訓練を欠かさない態度は、メジャーリーグを目指す桑田投手の様にストイックで感動的でさえある。序盤丸塚に押さえられていたが、ピットインのタイミングでパス、後一歩で優勝が狙える位置まで上がって来た。もちろん彼の駆るファーストのワークスシャーシは素晴しい仕事が施してある。とにかく粘らない、曲がらない、蹴らないで誰が乗っても遅くなるというベア自慢の客のお古、再溶接絶品シャーシだ。松井は苦もなく実力を削られ、驚くべき普通のタイムで周回して行く。抜かれた丸塚は「周回遅れに抜かれたのかと思いました。兎に角ヨタヨタしていて酷いんです、でも何故か速くて近付けないんです。」と、あんなシャーシに乗って馬鹿じゃないかと言っていた。事務局長の幾橋は「松井さんの名誉の為にもひとこと言っておきたい。一緒にカラオケに行った時の姿は馬鹿そのものです。」と、全てのツアー参加者に松井を見習って欲しいと言っていた。
その松井を後ろから抜こうと虎視眈々と狙っていたのが杉山だ。異様に綺麗好きの杉山の走行ラインはとても美しい。無駄なくスムーズな動きは太極拳のように全てに意味が有るのだ。１コーナーから2コーナーに向けてのフルブレーキング、それは「オメ〜ラ何時も世話してやってんだからメシぐらいおごれや。」とチームメイトへ熱く語り、そして３〜４コーナーのシケインのＳ字も一糸乱れずに「ベアも仕切りが高いんだよね。」と安く仕入れさせろと強硬に攻めて行く。バックストレートはエンジンの音も高らかに「杉山カートは日本一のカ−ト屋です。」とここ一番の見せ場だと、ちょっと嘘をつく余裕を見せる。杉山の美しいラインの秘密は人よりほんの50倍ほどワガママというだけで得に目立った特徴は見当たらなかった。周囲もワガママに迷惑しているだけで他に特徴は無いと語っている。何処に秘密があるのか事務局では現在調査中である。
タイトルホルダーが多い杉山カートで、一番良いリザルトとタイムを刻み続けているのに、未だ無冠の状態なのが山田だ。それは、杉山カートは午前中全くやる気がなく、午後になってようやく仕事を始める、といった公務員体質のメンバーが伝統的に多いのに対し、唯一午前中から働ける体質を備えているのが山田なのだ。故杉山がばいじいちゃんが皆に「お金を払ってまで抜かれる事は無い、後ろから行ったって前が全部潰れたら優勝じゃないか。」「昔から言うだろ、馬鹿と煙りは高い所に上がるって、ポディウムの下から見る馬鹿の顔こそ最高の幸せ。」という貴重な言葉を残しており、メンバーの自堕落な性格は“この教えを守ると楽だから”という血がにじむ努力の賜物なのだ。杉山カートでは山田に「もう少し努力をして欲しい」と指導している。
杉山カートの至宝と言われているのが湯山だ。幾橋と同様に練習をする姿を見た事がないと言われる神秘系レーサーで、得にレース中も速く走ろうと全くしていないという実態が2005年に日本学術会議で発表された時、テレビ朝日で特集された事があるという恐るべき男なのだ。そして美味しい所をきっちりと持って帰るため、放置できないという面倒な男でもある。こんな特殊な能力を持っている為、大阪で“楽して儲けたい”という市民に絶大な人気を博しており。千日前の大きなグリコの看板は、良く見ると湯山の顔になっている。
秋山は車とカートを全てをも持っていかれるという盗難にあってしまった。このような大事件が起こってしまったが、全世界から注目を集めているパンサ−ツア−の日程をずらす訳にもいかない。秋山は残念ながら不参加か？と思っていたのだが、そこに惨然と今年のチームメイト山下が現れて「秋山さん、私に任せて下さい。貴方はこのチームのエースだから、僕の秘蔵している秘密兵器、使わなくなったぼろぼろのイタルコルセを使って下さい。とても古くてマトモに走らないので秋山さんの力になると思います。」すると秋山は「有難う山下さん、僕なんか山下さんが使ってる新しい方のイタルコルセで充分です。ボロボロは山下さんが使って下さい。」「そこまで言ってくれるんですか有難う、でも350で実績のあるのややっぱり秋山さんだから…」「いや実力は山下さんだから…」またパンサーツアーに名物チームが誕生した瞬間だった。 |
