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「イクちゃん丁寧に扱えよ! 来年はこの車貰うんだから。」と阿部 |
コースサイドのクラッシュパッドの上、そしてガードレールの向こう側。ごう音鳴り響くサーキットでも、誰も来ないひっそりとした場所が結構有る。500は四大ショップのエース山本・冨田・山形・鴨居と妖怪今村がとにかく速い。その内の二人、山本と鴨居がレース中にこっそりと密会していたというスクープがゴシップ雑誌『POCUS』に掲載された。記事によると12周目、山本がエンジンが焼き付いた振りをしてコースサイドに車を止めた。優勝候補の脱落にベアサイドから落胆の声があがったのもつかの間、鴨居のマフラーが外れ今度はライズから落胆の声が上がった。当然鴨居にはオレンジボールによるピットインの指示がなされたが、鴨居が無視をするような形でピットインせず、バックストレートまで車を走らせ、山本の側に車を止めたと言う。事情に詳しいAさんはこう語る「第2戦を終わって、ランキングトップは新興の“オドロキジョニー”なんです。エースは妖怪今村さん、初戦で優勝したばかりか、この第2戦でもファステストを獲得するなど、実力は侮れない。昨年まで上位を独占していた四つのチームはかなりあせっているらしいんです。」と対向するためにエース同士が手を組むのでは無いか?という憶測がサーキットを駆け巡っているというのだ。その証拠として『POCUS』に掲載されていたのが、円山町で手を繋いでいる二人の写真と、インターネットオークションで阿部が売りに出されていた事実、そしてライズのカラオケ大会でマッキーと鴨居のデュエットがとっても下手だったことがあげられている。所属事務所のマユミ社長は「話題づくりのためなら豊胸手術や整形、盗撮でのヌードの流出なのなんでもするのでお仕事を下さい。」と、事態の沈静化にやっきになっていた。
風戸が今年からチームメイトになった今村の自宅を尋ねた時の話をしてくれた。赤坂の一等地に建つ今村の家は一本の木の上に建てられたツリーハウスだったそうだ。「まさか妖怪ポストなんてないですよね〜」と言ったら今村が「そんなもの無いよ〜、今どき誰でもメールだからさ〜」と答えてくれた。窓の外に善子の顔が見えたので「あれ?ここ2階ですよね?今村さん外にエレベーターかバルコニーでも有るんですか?」と聞いたら、「そんな気の利いたもんなんか無いよ〜、善子ちゃんが首を長くして君を待ってただけだよ。」と、ベアの連中が風戸が来訪するというので集まって来ていると教えてくれた。周りを良く見渡してみると、お茶碗の中で阿部がお風呂に入っていたし。すぐ横には10mあろうかとも思える幾橋の大きな顔も見えた。そこに久美がお茶を持ってくれたので「ありがとう久美さん、今日の服すっごくセクシーじゃん。」と言ったら「もう! ジョニーったら。」と砂をかけられてしまった。サーキットでは妖しい雰囲気を放っている今村だが、自宅は普通のオジサンと変わらなかったよ、と風戸は言っていた。
今回、ホワイトパウダーズは第2ドライバーに弦巻を起用して来た。虚弱体質の弦巻で大丈夫なのか?と誰もが感じたのだが、これには深い訳があるのだという。超アナログ人間の集まりのライズにとって一番厄介なモノがコンピュータ関連製品なのだ。今回は愛知県までの遠征というので、どうしてもカーナビ等のハイテク製品に頼らなければ行き着く事が出来ず、弦巻が来ないと参戦が不可能になるからなのだ。そのへんの所を弦巻に聞いてみると、「ライズでは目に見えるテクノロジーに関しては関心が高く、技術の向上につながるのですが。目に見えない電気系に関しては全く理解できない人が多くて、導入がとても困難なのです。」と教えてくれた。しかしパンサーツアーはセル付のエンジンを使用するレースだが大丈夫なのか聞くと、弦巻は「社長は今でもセルの中には小さな人が入っていて、ボタンで知らせると回してくれる。と言ってます。阿部さんを初めて見た時に、ほら、やっぱり居たよセルの中に入る人もレースするんだ。と感動してました。」と教えてくれた。弦巻はその時「社長あれはセルの中に入っている人じゃありませんよ。動物園から逃げ出した猿で、あそこに居る久保奈さんが昔バイトでセルの中に入ってたんですよ。」と、教えてあげたと自慢していた。 |