|
| 第一戦の優勝者関根。もちろん新東京ではサッパリの結果だった。 |
その瞬間、上野動物園の猿山で大声援があがり、猿達がガッツポーズで抱き合った。
パンサーツアー第2戦千葉グランプリは参加者の多くがホームコースとしている新東京サーキットを舞台に開催される為、非常にレベルの高い戦いになる。ここで優勝する事イコール最速の称号を手に入れることなのだ。予選ポールポジションは昨年の茂原東の優勝者ながら、いまいちキャラの薄い山下が獲得、2番手には、人気は高いが結果がだせない“お猿の新庄”こと阿部が続き、そしてチャンピオンの山本、エロアーティスト山形、自転車大王富田とやはり実力者がフロントを占めることになった。
あれっ？鴨居がいないな〜と思っていたらスタートで一気に3位にジャンプアップそしてすぐにピットイン、アグレッシブな作戦で、その存在感をアピールしただけでなく、その後やはりダラダラ走り、ボーナス15秒と持ち前の努力が嫌いな体質もアピール、みんなの期待通りに3周でその力を使い切る見事な“鴨居スタイル”を披露した。そのことをチームメイトの牧田は「1コーナーまでかな？と思ってましたが、2コーナーまで気力溢れる走りを見せていました、流石に地元、あれだけ気合いの入った鴨居さんを見たのは4年降りです。」と鴨居にしては良くもった方だと語ってくれた。
新東京で最も注目を集めた走りをしたのが手塚だ。手塚は最後尾からのスタートにも関わらず、19台をごぼう抜き、3位表彰台と驚くべきレースを見せたのだ。その結果に一番驚いたのが、こっそりＭＶＰを狙っているメンバー達だ。しかし手塚が最後尾スタートで今回オーバーテイキングポイントがつかない事を確認すると、「いや〜今回は不運でした。でもハワイってイイですよ〜、イヤ〜残念でしたね〜。（北原）」「あなたこそ、本来輝くべき人です。私が使ってるシャンプーの銘柄教えます。（田中）」「ヤッタ〜！！ヤッタ〜！！ザマーミロ！。お前に食べさせるロコモコはね〜！！（関根）」と性格の悪いコメントを寄せてくれた。手塚もそのコメントに感激し「殴ってやる！」と涙を流していた。
スリーボンドの金田は見た目通りに若く500クラスには年令の特別枠で参加している。パンサー審議会でも、金田の350への降格が毎回話題になるのだが「速そうだけど、結果が伴ってないから、勝負弱いのでは？」との見解から見送られてきた。しかし今までのレースの統べてが金田の狂言ではないかとの噂がたっている。スリーボンドはツアーにスポンサーとして賞品を提供している。その賞品をなんとか自分のものにしようと画策し、自分が優勝できるタイミングでもっとも良い賞品を出そうと調整していると言うのだ。いくら金田とはいえ350では簡単に優勝はできない、なんとしても500クラスでの参加権を死守し、目的を達成しようと様々な偽装をしているというものだ。今回の2位フィニッシュも自己申告で「フライングをしてしまいました。」とこっそり5位にリザルトを落としたらしい。そのことを同じスリーボンドの楢島は「金田さんは実に紳士的にレースをしていますよ。私生活で女をだます手口に比べたらレースの時はまるで皇室御用達の外商部の様な振る舞いをしています。」と立派な先輩で楢島にもきちんと分前を約束してくれている良い人だと熱く語ってくれた。
500クラスを征したのは阿部だった。スタート直後からジワリジワリと逃げる山下に差を広げられていたが、山下が周回遅れを抜くのに手間取ったのに対し、阿部は周回遅れに追い付くと直ぐにピットインし、タイムロスをすることなくレースに戻リ、数周後に山下がピットから出た時にはその順位が入れ代わっていた。そのことについて阿部は「山本さんが遅くて頼りにならないからさ〜、オレ頑張ちゃったよ。」とカート界のエースって辛いと語ってくれた。また、勝機を逃した山下は「本日人類史上初めて人間が猿に負けました。上野の猿の歓喜が人類の存亡の警鐘に聞こえます。」とその無念さを語ってくれた。それを聞いた参加者も「へえ〜山下さんて人間だったの？」と驚いていた。500クラスは多くの妖怪がいる。 |
