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平凡パンサー 11-1 CHIBA 2012.03.18
4.GG500&GG600 戦評〈1〉
PANTHER TOUR GG500&GG600 石川の必殺技は『ウルトラ ローリングドロップ“菊”スペシャル』だ

2年連続で500のチャンピオンチームを排出したライズは、その基盤を磐石なものとする為に最強のペアで挑んで来た。

エースはもちろん、2年連続の個人タイトルと3年連続でコンストラクタータイトルに輝く最強の500レーサーと言われる和田。強さを感じさせない、そこそこのタイムしか出さないのが持ち前の特長だ。そしてもう一人は、ツアー創世記から最強のドライバーの一人と目され、数々の武勇伝とともに伝説のドライバーと言われ、戦績もとりたてて言うことがないからやっぱり伝説になっている鴨居だ。

監督の中村は「和田さんすか? 結構強いっすよ。一晩中呑んでも最後までつぶれませんし。鴨居さんはママが居る時と居ないときで態度が違いますから、どっちが聞きたいですか?」 と、二人に絶大な信頼を寄せていると語ってくれた。初戦でワンツーを記録した二人は、最高の形でシーズンを向かえた。

チームは違うが、とてもよく似ている二人が手塚と石川だ。この二人誰に聞いても500で1・1・2位を争う速さの持ち主で、タイトルを獲ってないのが不思議だと言われている。

そう、この二人実にレースが雑なのだ。とにかくはみだす、ぶつかる、カートが止まる。あらゆるアクシデントが起こると必ずどちらかが参加しているのである。しかし勘違いしてはいけない。テックニックやレース運びが雑なのでは無く、一流と言っても良いドライバーなのだ。

実は二人とも事故に会いたがりなのだ。幼少期から独り孤独な少年であった為、華やかな場所にくると、どうしても目立ちたくなるのだ。そんな二人の必殺技がある。

手塚の必殺技は『手塚花火』だ。スタート直後、最初のハードブレーキングのコーナー、"ドン!"と言う音とともに一台のカートが飛び跳ねる、そう手塚が舞い上がっているのだ。その時ピットでは必ず関西弁で『手塚や〜!』と叫ぶとこになっている。それは江戸時代の玉屋・鍵屋の名物花火になぞらえ、手塚の美しい飛行姿勢を楽しむ為に自然発生したルールらしい。とても風流なチームである。

石川の必殺技は『ウルトラローリングドロップ"菊"スペシャル』だ。この技はあまりにも美しく、観客から「オー!!」という歓声が出てレースどころでは無くなる為、事務局から技の封印をお願いしている。その為、チームでは新たな技の開発を目指し、コンビニの前にたむろって、ダラダラしているらしい。とても研究熱心なチームなのである。

今年チャンピオンチームのシートを失い、元チャンピオンの山本とチームを起こしタイトルを目指しているのが関根だ。

シートを失ったとは言え元々のポテンシャルは高く、関根のモチベーションが保てないのではないかとの声もある。そのことについて監督の中村は「関根さんは太り過ぎちゃってシートに体が入らなくなっちゃったんですよ、それで新しいシートが必要になっちゃったんだよね」 と、リストラの言い訳としてはなかなかでしょう、これならば傷つけないで見捨てられます。とチーム経営に並々成らぬ自信を見せた。特に、新しいシートはライオン堂に特注し、いかにも気を使ってる風を演出したと教えてくれた。

とうとう埼玉県との友好条約を破棄し単独で東京出身者だけで再出発したのが"東京倶楽部"の高橋と三上だ。二人はこの機会にツアーで一番オシャレなチームを目指すと言っており、その事についてベア側もバックアップを惜しまない旨を発表している。

「光春と三上さんは、すっごいオシャレだよ!二人が似合う東京の町は絶対に赤羽のちょっと向こう、川を渡った所かな。」と、教えてくれた。京浜東北線の次の駅は川口だ。

杉山カートの選手は伝統的に雨に弱い、それは身体の50%が泥で出来ているからだ。エースと言われる山形もやはり泥の身体を持つ為、今回は苦戦していた。山形は「決勝に向けて秘策があります。雨でとける身体を守る為にもやしの種を身体全体にまぶしたんです。これで安心してレースができるから上位をねらいますよ!」と言っていた。

レースでは身体じゅうをカラスにつっつかれてレースどころでは無かった。

舛添がファーストのニューシャーシーを持ち込んで来た。12年モデルは戦力が高いと言われている為、高い注目を集めていた。見た人は全員が「不思議なフレームワークで、あれで速く走れるの?」と疑問をなげかけていた。

それについてディーラーの田中は「今回のファーストは舛添さんにぴったりです。なにかとぶつけたり、はみ出したりする走りで見事にフレームが変型してくれるので、安全で速くてそして前衛的な芸術も楽しめます。」と語り、9月には六本木の国立新美術館にて、ファースト・カート・オブジェ展が開催されるらしい。舛添はそれにむけて、もう2つの作品を出品している。

オーガストから初参戦の岸野に対してチームから貴重なアドバイスが届いている。
「岸野さん、パンサーツアーという、どうでもいいようなレースで無駄に人生を使っているんだから、ここで一生懸命に頑張ってリザルトを残せば、歴史になんて残らないし、誰の記憶にも残らないから、非常にやりがいの無いレースだけれども、あなたが選んだ道を、私たちは影で笑っているが信じているし、未来にきちんと繋がってはいると思う。もちろん未来が輝かしい場所だと限定しない場合だけど、そんな岸野さんのレースへの私たちの全力のサポートにたいしては感謝してもらわなくっていい、それは当たり前のことだから。ただ、月末に請求書が届いたらなるべく早く振り込んで欲しい!」

オーガストはカート屋の鏡である。


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※パンサーツアー専門誌「PANTHER TOUR」は“少ない取材と”“大きな想像力”で制作されています。
「ちょっと違うな〜」はありうることですが、抗議はうけつけません。投稿のみ受け付けますので、そこんとこヨロシク!
ADVAN PANTHER TOUR Vol.58 第8巻1号(通巻58号) 発行人/幾橋俊之 編集長/丸塚久和 撮影/色々 差入/本当に来ね〜な〜 発行所・パンサーツアー事務局/03-3704-0194(FAX)
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